以前友人がいくつかのメジャーメディアに立て続けに出演することになり、急遽スタイリングを手伝ったことがある。ファッションにまったく無頓着な途方に暮れた彼は、こちらにすべておまかせ。責任重大だったけど、それでもすごく新鮮な楽しい経験だった。後日それはなかなか好評だったらしく、彼の同僚から同じ依頼が舞い込んだのには驚いた。
友人のずば抜けた知性と輝かしい経歴を踏まえ、人としてとてもやさしいところ、おっとりしていて、アートとハードロックを愛するところを、私なりに表現してみた。そこに「こうあって欲しい」という、私の願いもほんのちょっぴり加えた装いにしたつもり。

「外見は一番外側の中身」と以前なにかで読んだことがある。その時は、へえそんなものかな？と思わされたけど、今はそれがとてもわかる。装いには、着るひとの内面、考えや思い、自分をどう見せたいのか、自分がどう在りたいのかが、鮮やかに、残酷なほどに現れるから。

お店ではお客さまとたくさんお話しをして、いろんなことを聞かせていただけるととても嬉しい。そのかたの思いや経験、こだわり、大切にしていること＿＿それらが透けて見えるような装いをご提案したいと思っているから。着る人の人生がにじみ出るような、味わいのある「外見」づくりのお手伝いができたらいいな、と願っているから。