プリントファブリックのなかに、うっすらと感じる花の存在。優しい配色の、とても抽象的な絵柄。ムードのある素敵なドレスだけど、デザイナーは何を表現したかったのだろう。このドレスをはじめて手にした時の印象です。

ブランド設立10周年を記念するカプセルコレクション。ニューヨークで、ダンサー、写真家として活動するアーティストとのコラボレーションによる一着です。2人のクリエイターが共に「自然」をテーマとしたコレクション。植物や種子、花々を、何枚もの写真を重ねる、多重露光を用いて撮影。絵柄を幻想的に感じられたのは、その「重ねる」という技法が生み出したのです。

自然、と聞けば、素朴やカジュアルをイメージしますが、SAYAKADAVIS (サヤカディヴィス)ならではのデザインと、複雑なプリントが合わさることでクールな印象に仕上がっています。ドレスのムードを引き立てるため、Tシャツとパンツも繊細で柔らかな素材やカラーのものを選び、作品＝ドレスの世界観に合わせて表現しました。

「重ねる」というキーワード。異なるものを重ねることで表情に奥行きがでたり、全く想像していなかったイメージが出来上がったり。アートの世界だけではなく、洋服にも同じことが言え、重ねることで初めて生まれるスタイリングの可能性を、私たちは大切にしています。洋服を通した新しい発見を、皆さまと共有したいといつも考えているのです。

DRESS / SAYAKADAVIS (サヤカデイヴィス)