
2025.09.05
Note For You
LEUR LOGETTE (ルールロジェット)|セレクトショップ RIVERUS リヴァース 新潟
ある日、サンジェルマン デ プレで。ほんの10分ほどの時間つぶしに、手近なギャラリーに飛び込んでみた。外から中の様子はほとんどうかがえなかったけれど、それでもエントランスをくぐった瞬間、「ああ。なにか、いる。」とすぐに肌で感じた。いま思えばそれがオーラというものだったんだと思うけど、『なにか』の主、それはあの、リー・ラジヴィルその人なのだった。屈強なボディガードを従えているせいか、思いのほか小柄に見える。パリ時間にしては早朝ともいえる静まり返った日曜の午前10時まえ、歴史上の人物を目の当たりにして息を呑んでいる日本人に、彼女もすこし驚いている。
スタイルアイコンで、「HAPPY TIMES」の著者、リー・ラジヴィル。早春の気温のパリ、肩に羽織ったカラーツィードのジャケットが、ひとあし早く季節の訪れを感じさせて素敵だった。シックでエレガントで、年齢と経験が美しくにじんだその装いは、ソーシャライツとしての彼女とフレンチモードとの、切り離せない関係を描写しているようだった。生きる伝説に偶然に出合えてしまうパリ。いまこの瞬間にも、カフェで、路上で、さまざまなドラマを生んでいるのだろう。
JACKET/LEUR LOGETTE (ルールロジェット)